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最高裁判所大法廷 昭和23年(れ)59号 判決 1948年6月02日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人国貞春雄同今田忠の辯護人玉井幹一の上告趣旨第一點について。

しかし、上告は上告人自身に對する原判決に對しその法令違反を理由とするときに限り、これを爲し得るものであるから、自己以外の他人である以上たとえ、上告人等と共犯關係にあり且つ同一裁判所で同時に審理判決を受けた共同被告人であってもその者のみに對する判決理由中の缺點を捉えて直ちにこれを自己の上告理由とすることはできないものと言わなければならない。本件において原審の相被告人で上告をしなかった池田唯行に對する判決理由中に假に所論のような理由齟齬の違法があって破毀を免れないとしても、同人のみに對するその違法は同時に本件上告人等に對する判決理由の瑕疵となるものでないこと明白であり、從って唯行に對する破毀の理由が上告人等に共通であるとも言い得ないから右唯行のみに對する原判決の違法を採って直ちに自己の上告理由として原判決の破毀を求める本論旨は到底採用するを得ない。(その他の判決理由は省略する。)

よって刑訴第四四六條により主文のとおり判決する。

この判決は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 三淵忠彦 裁判官 長谷川太一郎 裁判官 沢田竹治郎 裁判官 霜山精一 裁判官 井上登 裁判官 真野毅 裁判官 庄野理一 裁判官 小谷勝重 裁判官 島 保 裁判官 齋藤悠輔 裁判官 藤田八郎 裁判官 岩松三郎 裁判官 河村又介)

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